未経験でこの世界に入って最初の数年、私の年収は前職より下がり、ある会社では10ヶ月ものあいだ、ほとんど仕事を与えられないまま社内で「待機」していました。それでも4社を渡り歩くうちに、年収は250万から510万まで上がっています。

華々しい成功談ではありません。失敗のたびに「次はどこを見て選ぶか」を更新してきた、ひとりのエンジニアの転職体験談です。

何年やっても年収が上がらない…これって転職した方がいいの?
やりたい技術ができない現場にいる。動いて失敗したら怖いんだけど…
きれいな成功談ばかりで、自分のケースに重ねられない。リアルが知りたい。

この記事では、その4社で何が起きたのかを、各社の年収とともに時系列で公開します。配属ガチャ、独自フレームワーク、長期の放置——うまくいかなかった時期も省かずに書くので、転職で何を変えれば状況が動くのかを1個人の実体験から一緒に考えられるはずです。なお内容はあくまで私1人のケースであり、同じ結果を保証するものではありません。

この記事は次のような方におすすめです。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 未経験〜実務5年目で、年収が250〜400万あたりから上がらず迷っている方
  • SESや受託で配属・技術に不満があり、転職すべきか判断できずにいる方
  • 成功談だけでなく、失敗も含めたリアルな転職の流れを知りたい方
  • 転職して本当に年収やキャリアが変わるのか、自分のケースで確かめたい方

読み終えるころには、4社分の具体的な記録を通して「自分は何を変えれば状況が動きそうか」の手がかりがつかめ、今の状況から最初の一歩として何をすればいいかが見えてくるはずです。

それでは、順を追って詳しく見ていきましょう!

結論:4社かけて年収を250万から510万に上げた、その全体像

先に結論をお伝えすると、私は前職の携帯販売から未経験で飛び込み、4社を経て年収を約250万から510万まで上げました。ただし決め手は才能でも特別なスキルでもなく、失敗から「意思決定の質」を上げていったことでした。

流れはシンプルです。1社目は前職の携帯販売(約300万)から年収を下げてでも未経験で飛び込み、インフラ配属を皮切りに、半年ごとに現場が変わる「たらい回し」で消耗します。2社目は独自フレームワークと10ヶ月の放置でさらに足踏みしました。転機は3社目で、唯一続けたJavaの経験がスカウト面接で評価され、年収が140万ほど上がります。そして4社目では、技術・年収・長期性の3軸で条件を整理してから動き、現職にたどり着きました。

数字で見ると変化がはっきりします。下の一覧で、各社の在籍年数・年収・主に触れた技術・ひとことを並べました。

時期 在籍年数 年収(目安) 主な技術 ひとこと
前職(携帯販売) 約300万 別業界。ここから未経験でエンジニアへ
1社目 数年 約300→250万 インフラ→一部Java 未経験スタート・配属ガチャでたらい回し
2社目 数年 約250→260万 独自FW(楽々Framework2)・ノーコード 異動後10ヶ月ほぼ放置
3社目 数年 約260→400万 TypeScript・C#・Xamarin/.NET MAUI Javaが評価され転機に
4社目(現職) 継続中 約400→510万 Angular・C# 3軸で条件整理して決断

この記事は、いわば「失敗2社→転機→現職」という見取り図を、各社で何が起きたかまで掘り下げた記録です。年収の数値はあくまで私1人の実数であって相場ではない点だけ、先にお断りしておきます。

4社の転職実録|失敗から意思決定の質を上げるまで

ここからは、各社で実際に何が起き、何を学んだのかを時系列で記録します。読みどころは、失敗がそのまま次の会社選びの判断材料になっていった流れです。年収の推移と一緒に、当時しんどかった点も正直に残します。

1社目|未経験スタートと配属ガチャ(前職300→未経験250万)

最初の2年は、ひとことで言えば「開発がやりたいのに、たどり着けない」時間でした。

携帯販売から、未経験でこの世界へ

もともとは携帯販売の仕事をしていました。エンジニアを目指すきっかけは、妻が「こんなのがあるよ」と見つけてきた無料のプログラミングスクール。「無料には裏があるのでは」と疑い、説明会で直接確認して納得してから入校しました。前半は仕事を続けながら通い、終盤は貯金を切り崩して通学に専念します。

「開発がやりたい」のに、現場は半年ごとに変わる

希望はJava開発でしたが、最初の配属はインフラ。O365のシングルサインオン構築などを担当するうちに「自分がやりたいのは開発だ」とはっきりし、半年後に希望を出して開発の現場へ移ります。ところが「開発」の中身も想像とは違いました。任されたのは工場の生産管理システムのような業務系で、スマホで見るWebサービスとはかけ離れています。営業にサービス系の案件を相談しても「ほとんどない」との返事でした。

しかも現場は半年スパンで変わり続けます。実際にまわったのは、ざっとこれだけです。

  • インフラ:O365のシングルサインオン構築
  • 工場の生産管理システム:Javaでの業務系開発
  • PowerBuilder→Javaのコンバート:炎上案件に途中参画。単体テストやエラー潰しが中心で、コードらしいコードは書けず
  • 介護機器のREST API(Node.js):初めての「0→1」開発で、1社目で一番おもしろい経験
  • 生命保険系システム:ここで見切りをつけて退職

年収はむしろ下がり、2年で見切りをつけた

腰を据えて積み上げる感覚は最後まで持てず、年収も前職の約300万から約250万に下がったまま。それでも、希望とズレる案件(SQLチューニングなど)は断り、「開発をやる」という一点だけは曲げませんでした。この「やりたくないことを断る」判断が、のちのキャリアの軸になります。

1社目の学びは、配属や現場は運の要素が大きく、入ってみないと分からない部分が想像以上に大きい、ということでした。

2社目|独自フレームワークと10ヶ月放置という消耗(約250→260万)

2社目で学んだのは、「入れたこと」と「働き続けられること」はまったく別だ、という現実でした。

入口は、悪くなかった

2社目はサービス系は諦め、業務系Webで妥協して「一次請け・Java開発ができる」という条件で選びました。最初は悪くありません。一次請けで案件がコロコロ変わらず、Javaをしっかり書ける——そこは1社目との大きな違いでした。

「楽々Framework2」、そしてノーコードへの異動

つまずいたのは技術と組織の両方です。任されたのは「楽々Framework2」という、世間ではあまり使われていないフレームワーク。ドキュメントも乏しく、外に持ち出せる知識が増えていく感覚がありません。さらにコロナ禍で事業が縮小して別部署へ異動になると、今度はノーコードツール「楽々Workflow」中心の仕事になり、Javaの経験すら積めなくなりました。「ここは長居する場所じゃない」と確信します。

決定打は、10ヶ月の放置

「環境を用意するから待っていて」と言われたまま、実際にやることは、タスク管理ツール「Redmine」のチケットを見て簡単なテストをする程度。タスクのない日も珍しくありません。黙って待っていたわけではなく、言い方を変えて何度も催促しましたが、状況は変わりませんでした。これは催促の仕方の問題ではなく、組織側の業務設計が根本から壊れていたのだと思います。

忙しすぎるのとは別種の、「自分は成長できているのか」という不安がじわじわ積もるしんどさで、メンタルは確実に削られました。年収は約260万とほとんど動かないまま。それでも、この期間に独学と転職活動を並行して進めたことが次につながります。

2社目で痛感したのは、求人票のラベルだけで決めると、実際に使う技術も働き方も別物になりうるということでした。

3社目|唯一続けたJavaが評価された転機(約260→400万)

転機は3社目でした。ここで初めて、これまでの経験が「外の市場ではどう見えるか」を突きつけられます。

「その経験で、その年収は低すぎる」

在職中に転職エージェントとスカウト機能を併用して活動していたところ、これまで唯一続けてきたJavaの経験に反応がありました。忘れられないのは、あるスカウト面接で言われた一言です。「その経験で、その年収は低すぎる」。自分から年収交渉をしたわけではありません。先方の提示がそもそも高く、評価される市場に出ただけで年収は約400万へ、140万近く上がりました。自分ではマイナーな技術しか積めていないと思い込んでいましたが、唯一続けてきた約3年のJava経験は、市場から見れば十分な価値があったのです。自己評価と市場評価はこれほどズレる——それを身をもって理解した瞬間でした。

ここで初めて「外で通用する技術」が積めた

入社後の技術的な実りも大きい現場でした。フロントはTypeScript、バックはC#(ASP.NET)。UIに「Kendo UI」が使われていて「またマイナー寄りか」と一瞬よぎりましたが、1年後にはXamarinでのモバイルアプリ開発に移り、Xamarinのサポート終了に伴う.NET MAUIへの移行まで経験できました。基盤部分の保守運用にも関われ、ここでようやく「外でも通用する技術を積んでいる」という手応えを持てたのです。

私がこの転機をつかめた背景には、在職中にスカウト型のサービスを動かしておいたことがあります。求人を自分から探すだけでなく「向こうから来るスカウト」という形で市場価値を測れたのは、大きな収穫でした。当時の私のように「今の自分の市場価値はどのくらいか」が気になる方は、在職中に登録だけ済ませておくと、年収の妥当性を“向こうからの反応”で確かめられます。

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4社目(現職)|3つの軸で条件を整理した転職(約400→510万)

過去3社の失敗を踏まえ、4社目は「勢いで動かない」と決めていました。

動く前に、3つの軸を決めた

自分の中で明確にしたのは、次の3つの軸です。

  • 技術スタック:市場で通用するメジャーな技術を使えるか
  • 年収水準:今より上がるか
  • 長期で働けるか:案件がコロコロ変わらず、腰を据えられるか

面接では遠慮せず本音を伝えました。「ReactとTypeScriptでフロント開発をやりたい」「長期で技術を積み上げたい」と具体的に明言し、面談・面接はおよそ6〜10社。入口はエージェント経由の紹介と、企業からのスカウトの両方を使いました。

SESで一番怖いのは「案件が選べない」こと

このとき一番気をつけたのは、入社後に希望と違う仕事へ回されないかでした。私が入ったのはSESで、具体的にどの技術を使うかは入社後に案件で決まります。だからこそ面接では「案件は自分で選べるのか」「希望と違う領域に固定されないか」を直接確かめました。実際、ある会社では「インフラに強い」と説明され、「インフラの案件が決まったら、必ずそこに入らないといけないのか」と尋ねると、案件は選べないとはっきり言われたこともあります。1社目・2社目で味わった配属のミスマッチを繰り返さないために、ここを見極めたかったのです。

結果:希望は半分、でも納得して決めた

結果として使う技術はReactではなくAngularになりましたが、それでも開発のフロントに長く関われる環境は確保でき、年収も約510万に上がりました。ここで得た学びは、入社前に「自分の希望と現場のミスマッチが起きないか」をどこまで具体的に確認できるかが、入社後の満足度を左右するということです。

スカウトで市場価値を測る一方、実際の応募から内定までを伴走してくれたのが転職エージェントでした。求人紹介や面接の日程調整に加え、「入社後に案件を選べるのか」といった自分では聞きにくい条件まで間に入って確認してくれる。4社目で配属のミスマッチを避けられたのは、この伴走があってこそです。

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在職中の限られた時間で動くなら、求人紹介から面接の調整、入社後のミスマッチ確認まで任せられるエージェントが効きます。あわせて、自分の市場価値はスカウト型で並行して測っておくと、提示条件の判断がしやすくなります。
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体験から言える「転職して良かったこと・後悔したこと」

4社を経た今、報われたと感じることもあれば、心残りもあります。良かったことも後悔も、片方だけを盛らずにそのまま並べます。これはあくまで私のケースであり、誰にでも当てはまる結論ではありません。

観点 良かったこと 後悔・心残り
技術 メジャー技術(TypeScript/C#/Angular)を積めた Reactでの開発はいまだ叶っていない
キャリア 芯を曲げず「開発をやる」を取りにいけた 1社目・2社目の会社選びが甘かった
自己理解 市場に出て自己評価のズレを知れた 2社目の放置期間で失った時間が大きい

総じて、開発をやり続けたいという軸を曲げなかったことが一番報われたと感じています。一方で、最初の会社選びをもっと慎重にできていれば、遠回りは減らせたかもしれません。後悔は人によって形が違いますが、典型的なパターンと回避策を知っておくと、同じ轍を踏みにくくなります。

体験から抽出した、転職で年収・キャリアを上げる5つの判断軸

ここからは、4社の経験から私が「これは効いた」と感じた判断の観点を5つにまとめます。一般論ではなく、あくまで私の体験に根ざした観点なので、各軸に根拠と限界を一文ずつ添えます。

  • ラベルでなく「実際に使う技術 × 長く働けるか」を確認する:2社目は「Java可」のラベルで選んで独自FWに当たりました。求人票の文言と現場の実態がずれることはある、という限界も併せて頭に入れておきたい観点です。
  • 独自FW・ノーコードなど閉じた技術を避ける:外に持ち出せない技術は市場価値が伸びにくいと感じました。ただし、業務知識など別の形で資産になる場合もあり、一律に悪いわけではありません。
  • 在職中にエージェントとスカウトを併用する:収入を切らさず、複数の入口から市場を測れました。活動の手間は増えるので、無理のない範囲で動かすのが現実的です。
  • 自己評価より市場の評価を取りに行く:「低すぎる」と言われて初めてズレを知りました。市場の評価も会社や時期で揺れるため、1社の反応で決めつけない方が安全です。
  • やりたいことを面接で明言する:4社目は本音を伝えて条件が整いました。希望が全て通るとは限らない点は、4社目でReactが叶わなかった通りです。

もし今「自分のスキルで通用するのか」と不安でも、それだけで動かない理由にはなりません。私自身も自分を過小評価していましたが、不足は埋め方さえ分かれば動きながら補えます。

年収の相場感を確かめたいときは、私の実数(250→510万)と公的な統計を分けて見るのが大切です。私の数値は1個人の結果にすぎず、相場としては厚生労働省の賃金構造基本統計調査や、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のIT人材に関する調査などが参考になります(具体的な数値・年度は要確認)。「平均」と「中央値」では意味が違うため、相場を見るときはどちらの指標かも確認しておくと判断を誤りにくいです。

こうして軸が定まると、次に気になるのは「自分はどのサービスをどう使えばいいか」という点だと思います。サービスごとの型や対象は幅があり、横並びで整理すると選びやすくなります。

あなたは今、転職すべきか|自己診断チェック

自分のケースは動くべきか、それとも留まるべきか。判断の目安として、次のチェックに当てはまる数を数えてみてください。これはあくまで目安であり、当てはまったからといって即転職を勧めるものではありません。

  • 同じ作業が半年以上続き、積み上げ感がない
  • 独自FWやノーコード中心で、外に持ち出せる技術が増えていない
  • 自分の年収が、市場の相場より低い疑いがある
  • やりたい技術と、今の現場でやれることが乖離している
  • 改善を求めても、半年以上状況が変わっていない

当てはまりが2つ以下なら、まずは社内での異動や役割の調整も含めて情報収集から始めるのが現実的です。3つ以上に当てはまるなら、在職中のまま転職活動を並行して市場の反応を見る価値は高いと感じます。私自身、2社目で放置されている間に在職中から動き始めたことが、3社目の転機につながりました。

動くべきかどうかは、状況だけでなくタイミングにも左右されます。年齢や経験年数、求人が動く時期との兼ね合いで、見極めの考え方が変わってきます。

まとめ – 4社の失敗と転機が教えてくれたこと

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 前職の携帯販売から未経験で飛び込み、4社を経て年収を約250万から510万に上げた1個人の記録
  • 失敗は配属ガチャ(1社目)と独自FW・10ヶ月放置(2社目)、転機はJavaが評価された3社目
  • 4社目は技術・年収・長期性の3軸で条件を整理してから決断した
  • 年収の数値は私1人の実数で、相場(厚労省・IPA等)とは分けて捉える必要がある

振り返って思うのは、決め手は才能ではなく、失敗のたびに磨かれた「意思決定の質」だったということです。これはあくまで私1人のケースですが、同じように迷っている方が次の一歩を考えるきっかけになればうれしいです。